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AI時代の塾の役割について思うこと ①【思考プロセスを見せる】

2026年09月20日 保護者向け

きただです。

最近の高校生を見ていると、勉強の中でAIを使うことがかなり当たり前になってきました。

数学の問題が分からなければAIに聞く。
英文の意味が分からなければAIに聞く。
化学や物理の問題でも、解き方を質問すればかなり丁寧に説明してくれます。

昔であれば、

「学校の先生に聞く」
「塾の先生に聞く」
「参考書で調べる」

しかなかったことが、今では数秒で解決できます。

これは、ものすごく便利なことです。

実際、AIを上手に活用できる高校生であれば、以前よりもずっと自学自習がしやすくなったと思います。

ただ、高校生たちを普段指導していて感じることがあります。

それは、

「分かった」と「自分で解ける」の間には、かなり大きな差がある

ということです。

AIに問題を質問すると、非常にきれいな解説が返ってきます。

その説明を読めば、

「なるほど」
「そういうことか」

と思います。

しかし、数日後に同じような問題を出してみると、意外と解けません。

なぜでしょうか。

その理由の一つが、

「自分がその問題を解いているイメージを持てていないから」

だと思っています。

AIの解説は、基本的に完成された解説です。

問題を見て、

「ここに注目する」
「この公式を使う」
「この式変形をする」

という正しい道筋を示してくれます。

しかし実際に問題を解くとき、人間の頭の中はそんなにきれいではありません。

そんなのできたら天才です。

「これは何を使うんだろう」

「いや、この公式ではなさそうだな」

「とりあえず図を書いてみよう」

「この条件、どこかで使えそうだな」

「さっきの考え方は違った。じゃあこっちか」

そんなふうに、ああでもない、こうでもないと考えながら答えに近づいていきます。

そして、この思考の過程を目の前で見せることこそ、人が教える大きな意味の一つだと思います。

例えば、野球のバットの振り方をAIに質問したとします。

「下半身を使いましょう」
「軸をぶらさないようにしましょう」
「ボールを最後まで見ましょう」

おそらく、正しい説明をしてくれると思います。

でも、その文章を読んだだけで急にバットが上手く振れるようになるでしょうか。

なかなか難しいですよね…

実際には、目の前で誰かがバットを振って、

「ここで少し体重を後ろに乗せて」

「今は腕だけで振っているから、もう少し腰から回してみよう」

「そうそう、今の感じ」

と、自分に合った言葉で説明してもらう方が、圧倒的にイメージしやすいはずです。

勉強も、それとよく似ています。

高校生を指導するとき、はできるだけ、

完成された解答だけを見せない

ようにしています。

問題を見ながら、

「まずここを見るかな」

「この条件がちょっと怪しいね」

「一回これでやってみよう」

「この手の問題はこういうアプローチが定石だよ」

「あ、これはうまくいかないから別の方法にしよう」

と、実際に考えている過程もできるだけ口に出します。

数学であれば、

「この形を見たら、まず微分を疑う」

「でも範囲を見ると別の方法もありそう」

英語であれば、

「この文、まず動詞を探そう」

「ここまでを一つのかたまりとして読んだ方がいい」

といった具合です。

講師の頭の中で起きていることを、なるべく外に出して見せます。

すると生徒は、単に

「この問題の解き方」

を覚えるだけではなく、

「こういう問題に出会ったとき、どう考え始めればいいのか」

を少しずつ身につけることができます。

これは、AIだけではまだ十分に補いにくい部分なのではないかと思っています。

もちろん、AIを否定する必要はまったくありません。

分からない単語を調べる。
英文法を質問する。
数学の別解を聞く。
自分の答案を添削してもらう。

などなど、AIは、非常に優秀な学習道具です。

ただ、

AIに教えてもらった=自分ができるようになった

ではありません。

AIで理解し、人との授業で思考の仕方を学び、自分で何度も問題を解く。

この組み合わせが、これからの学習ではますます大切になると思っています。

AIによって「答えを教えるだけの授業」の価値は、これから確実に下がっていくと思います。

だからこそ、塾の先生にも、

「答えを説明する人」

ではなく、

「どう考えるのかを見せる人」

としての役割が、今まで以上に求められているのではないでしょうか。

AIがどれだけ進化しても、

目の前の生徒の表情を見ながら、

「この説明では伝わっていないな」

「この子にはこの言い方の方が伝わりそうだな」

と、その場で説明を変えながら一緒に考えること。

そして、生身の人間が試行錯誤する姿を見せること。

そこに、これからの時代の「人が人に勉強を教える意味」があるのではないかと思います。

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