先生。うちの子供に英会話を教えて欲しいんですけどやっていただけますか?
発音と英会話を三歳の息子に教えて欲しいです。授業料お支払いしますので
と言われたことが実は三、四回ほどあります。
英語を教えて欲しい、英会話を教えて欲しいとオファーいただくのはありがたい限りですが、
まだまだ勉強不足ですので、またいつかお手伝いできたらと思います。
と今現時点ではお断りしております。
ここ10~15年くらいの流れで、、それよりももっと前かもしれませんが「子供に英語を熱心に勉強してほしい」波がきています。
小さい頃から
- 英語を英会話教室で習う
- 公文で習う
- 親が指導するetc.
など英語教育に熱心な親御さんが多いようです。
私のお知り合いの研究機関の先生は、
自分が英語で苦労したから、娘には英語で苦労してほしくないんだよね。だから、英語だけは小さい頃から学習してほしい。
とおっしゃっていました。
確かに、自分が苦労したことで苦労して欲しくないと思うのはその子の親としては当たり前の思いなのかもしれません。
さて、前振りが長くなりましたね。本日はお子様にいつから英語を習わせ始めるかについて私の個人的な意見を書いていこうかと思います。
英語をいつ子供に習い始めさせるか[結論:いつからでもいいのでは?]
結論ファーストで意見を書かせていただきますと、いつ英語を習い始めてもいいのではと思います。
えっ?
と思われますよね。
常識として言葉は早く習い始めた方が早く吸収しますし、我々も日本語はそうやって吸収していきました。
また、
もしかしたらこのような意見をいただくかもしれません。
リスニングと発音は早い方がいいというふうに聞きました。
早い方がいいに決まっているではありませんか。
では、いくつかの研究事例と私の中での体験談を通して、そう思う根拠を説明させていただきたいと思います。
①発音は三歳まで
言語に応じて最適な口の形、構造、舌の強さが存在します。研究によってもまちまちですが、口がその言語に最適化されるのは3~5歳くらいまでだと言われています。つまり、その年までに英語の音のエクスポージャーが多量でかつ、子供が発話練習をしないととてもじゃないけど発音はネイティブレベルまで上達しません。
そういった面では帰国子女も同じです。生まれも育ちも海外でなければ、とてもじゃないけどネイティブのようなあの感じで英語は発音できません。
※小学生や幼稚園の頃に海外で生活した帰国子女の場合はリズムとイントネーションが後天的にきちんと身に付くため、非常に綺麗な発音で話される方が多いです。
つまり、ネイティブレベルの発音を獲得することは非常に難しい。
でも、今の社会ではネイティブレベルの発音にこだわる必要はなく、世界の共通言語になっている以上、ニュートラルな発音(誰でも理解できる)ができることが一番いいです。
このニュートラルな発音を身につけるのは別に小さい頃からでなくても、大人になってからも身につけることができます。
②バランスバイリンガルの育成は非常に難しい
早期の英語教育で気をつけないといけないことは、日本語が中途半端にならないようにすることです。
実はあまり知られていませんが、早期の英語教育の影響で日本語も英語も中途半端になってしまうケースが多々あるのです。これは非常にまずい。
英語と日本語両方の能力が育つバイリンガルのことをバランスバイリンガルと言いますが、ご両親が海外の方であっても綺麗なバランスバイリンガルに育つケースはあまりありません。
ご両親のどちらかが海外の方の家系であってもバランスバイリンガルを育てることは非常に難しい。
両親がお二人とも日本人なら言わずもがなです。
英語早期教育の影響で日本語が中途半端になってしまう可能性がある。これは大きな弊害なのでは?と思います。
③英語が嫌いになっては本末転倒
教育熱心な親御さんにはショッキングな情報かもしれませんが、小さい頃に親から英会話教室に通わされた結果、英語が嫌いになってしまう現象はよく起こります。
これは私のお知り合いの方の体験談です。
ある研究機関で教鞭を取られているA先生が私が学生の頃にこのようなことを言われていました。
研究の話を英語でするのには慣れているけど、日常会話が全くできないだよね。もともと英語が嫌いなこともあって英語コンプレックスもある。
これまで英語を教室かなんかで勉強された経験はあるのですか?
小さい頃、英会話教室に通ったけどそれが嫌で嫌で、、それが原因で英語嫌いになって全く勉強しなかったよ。あと、小さい頃にやったことなんて忘れるし、、英会話教室でやったことなんてもう何一つ覚えてない。
とのこと。
英語の学習を早く始めたのはいいものの、英語嫌いを助長させる結果になってしまったり、通ったけど全く身についていない。
英語嫌いの方もこう言っている人多いですよね。
これらの根拠より
上に挙げた三つの根拠より、私は「いつから始めてもいいのでは」と思います。
それよりも、子供が能動的に英語を学習したいと言うのを待つのもありだと思っています。能動的に学習を始める以上、受動的に学習をするよりも学習効果が高いですし、英語が嫌いになってしまうこともないでしょう。
学習する上で大切なのは嫌いにならないこと。
これに限ります。
苦手意識があるとそれがトラウマやコンプレックスになり、なかなかそれを取り除くのも大変です。
英語を習い始めさせる前に大切なこと
これは一番最初にお伝えした方がよかったことなのかもしれません。
英語だけではなく、言語や学問にはその子との相性が存在します。
数学を勉強しなくても数学が得意な子がいたり、国語が得意な子がいたり、社会が得意だったり、、、つまり学問や言語には向き不向きがあります。言い換えるとその子の適正や才能みたいなものが学問や言語には存在します。
もちろん、向き不向きは英語にも存在します。(数学と同様に英語にも適正や才能があるのかもしれません)
向き不向きが存在する以上、どうしても英語が得意になれない子も少なからずいるわけです。
まずは、この学問や言語にはどうしても向き不向きがあること
これをまず親御さんには理解して欲しいなと思います。
その上で、お子さんの得意なことを伸ばしつつ、苦手なことが嫌いにならない程度にサポートしてあげるのがベストだと感じます。
英語に相性なんてありますの?
と思われる方。ぜひ、もう少し読み進めていただければと思います。
以前私が耳にしたお話で、言語の相性を確信したお話がありましたので、書きますね。
私が英語を習っていた英語塾の元塾生Sさんがいます。そのSさんのお話です。
元塾生のSは英語はあまり得意ではなかったけど、大学に入って勉強し始めた中国語は才能があったみたいで、ペラペラ話せるらしいぞ。その本人も、英語は頭に入らなかったけど、中国語はスイスイ入ってきたと言ってたな。言葉にも相性があるから、英語が全てではない。
Sさんは中学、高校、大学で10年近く勉強した英語よりも、大学で勉強した中国語の方がスイスイと吸収してしまったようです。この話を聞いて言葉にも適正、相性、才能というものがあるのかと実感しました。
まとめ
なんだか英語の早期教育を否定するような記事になってしまいましたが、否定しているわけでは全くありません。早期教育による弊害を挙げた上で、結論として英語の学習はいつからでもいいのでは?と書きました。
早期の英語教育よりも大切なことは子供の好きなことを一緒に発見してそれを伸ばす。
それが全てだと思います。
それは英語に関わらずですよ。